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2019.11.14

A Tribe Called Quest

Switch

トライブコールドクエストの撮影でニューヨークへ。Qティップの名は綿棒を意味する事を知っていたので、本人に渡してみようと、冗談気分で実は本気の撮影小道具である綿棒を買って持って行った。ニューヨクの街を、あちこちから声援を受け手を軽く振りながら応える若きトライブコールドクエストと歩く、Qティップは撮影中撮られながら、ほぼ携帯で誰かと話をしていた。現場の誰かが電話の相手はマライアキャリーだよと言っていた。英語を一切話せない自分は彼らからするとアジアのカメラをぶらさげた言葉の通じない犬程度の感覚だったかもしれない。しばらく歩きながら撮影していると多分、「これ以上歩かせるんじゃねえアホンダラが!」という感じの激怒したシャウトを中指を立てながら突然Qティップがし始めたので帰路へ。彼らの所属レーベルの建物の前まで戻ってきた最後のタイミングに、Qティップに、「ジャパニーズプレゼント」と言って綿棒を手渡すと、多分、「おめえ言葉は通じねえけどよ、俺のことちゃんとわかってやがったんだな?この犬、シャレが通じるじゃねえか!笑えるぜ!」のような事を叫び、さっきまで一切興味を示さなかった犬と撮影に対してプレゼントした綿棒を一本ずつ取り出して両サイドの耳の穴へ差し込み、片手で顔を隠し綿棒を刺した耳だけ出して、右左両サイドの横顔をカメラに向けて、多分、「知ってっか?俺がQティップだ!」というポーズを嬉しそうに、決めて見せた。その後Qティップは頭の上に綿棒を乗せてはしゃぎながら建物に入って行った。撮影は綿棒を渡した後がクライマックスになった。最初に渡すか最後に渡すか考えたが、最初に渡して激怒されたら終わるので、最後渡しにしたが、最初に渡していたらどんな撮影になっていたのか。それは考えないようにしてる。